悲しみの歌。 だんだんと寒さが厳しくなっていく頃 僕はあの子に恋をした。 毎日毎日学校へのバスで出会う。 たった10分位の間僕はいつもドキドキしている。 ずっと見ているのに。ずっと見つめているのに。 君は気づきもしないんだね。 君はいつもバスの中から外を見ている。 ぱらぱらと舞い降りる白い雪を見ている。 何だかその表情は悲しそうで。 何だか切なそうな顔をしていて。 そんな毎日が続いてた。 何も変わらない日々が過ぎていった。 そしてまた今日もいつものようにバスにのった。 『あれ?』 そう思った。急に悲しくなった。 あの子の隣にはある男の子がいた。 君はどうして外を見ていたの? いつもいつも外を見ていたはずなのに。 なのに今日はあの隣の子に向けられている。 悲しそうな表情も切なそうな顔もなくて。 最高の笑顔を見せていて。 『苦しいよ。切ないよ。』 そう感じた。そう思った。 僕の横を冷たい雪が舞い降りる。 まるで悲しみの歌を歌ってるかのように。 僕の涙を乾かすかのように・・・。
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